ちいさな巨人

NYの夏は素っ気なくさっさと去ってしまうけれど
8月の暑さがまだ残っている頃に小さいけれど大きな赤ちゃんが生まれました。

4600グラム、文字にすると改めて驚くけれど
私だけでなくその場にいたドクターも看護婦さんもあまりの大きさに大興奮でした。
「はいっ」と渡された赤ちゃんを見たときの最初の正直な気持ちは
(これは新生児には見えないな)というものでした。

頭もふさふさ、眉毛もしっかり濃くて、耳の外側にまでふさっと濃い産毛が生えた、まるで九州男児のような赤ちゃんは意外にも優しい泣き声で誕生したのでした。

出産前はとにかく、無事に生まれてきたらいいとそれだけしか考えられず
今自分が何かの事故で死んでしまったら赤ちゃんまで一緒になってしまうと思い
毎日とにかくゆっくりゆっくり一歩一歩を踏みしめてお店まで歩きました。
世界中でどれくらいの妊婦が「絶対無事赤ちゃんが出産できる」という自信があるのでしょう。私は正直とても100%の自信をもって「絶対」とは思えなかったのです。

妊娠していた私のお腹はとにかく異常なくらい大きくて、大げさではなく毎日毎日通行人や工事現場で働くおじさんや、警察官やとにかく色んな人から「双子か?」と聞かれ、こうなったらお腹の上に「この中↓ひとりです」と書いた紙を貼ろうかと思ったくらいです。

まるで雷のように生まれて来た君。
今はまだ話せないけれど、なんとなく、ひょうきんで陽気な性格のような気がするちいさくて大きな君。
これから働くお母さんのもとでどんな風に育って行くのだろう。
とにかく、無事生まれて来て本当によかった。

この世にようこそ。