土で作った妊婦

小学校の近くに大きな古墳があった。
だからかどうか、よく職員室の前のガラスのショーケースに埴輪とか土偶が飾ってあった。
「なんで、妊娠してる女の人ばっかり作ったんだろう」
と子供の私は考えていたのを覚えている。太ってお腹が大きい女の人の茶色の像ばかり。

今ようやく分かった。
その昔、妊娠と出産と赤ちゃんっていうのが、人間の人生の最大の盛り上がりポイントだったんだろうっていうことが。この期間、人間は最大にクリエイティブになって工夫して生活していく必要がある。赤ちゃんが生まれる度に盛り上がっただろうなあ。
赤ちゃんを育てるというのは、それこそ今の映画と音楽とテレビ、とにかく全部のエンターテイメントを総合した楽しさがそこにあったのだろう。

今に生きる私はルンバとiphoneを酷使して何とかやってるけど、赤ちゃん連れてその時代にタイムスリップしたとしてもそれはそれで親戚や近所の人からのたくさんの助けで意外と楽しい育児が待ってるような気がする。