しばいぬ

NYで日本人に遭遇するのは頻繁にあることだけど、昔バージニアで留学生だった時はアジア人が珍しかったので見かけると「同志?」っていう気がしてちょっとわくわくしたものだった。そして実際話してみると、大体のアジア人がアメリカ生まれであったのだけど。

それと同じような気持ちになるのが、NYで柴犬を見かけたとき。
柴犬は人気の犬種なのでわりとよく見かけるのだけど、白い毛に細くてつり上がった目を見ると「同志〜!」と言って背中をパンパンしたくなる。はるばるよくアメリカ大陸までやってきたなあ、NYで頑張ってやってるの?と話しかけたくなる。

そしてついに先日お店に柴犬がやってきた!
短くてぎっしりとした直毛。つい顔を両手でぎゅう〜っとはさんでもっと細い目にさせてしまった。それで嬉しそうにしている。かわいいなあ。

日本で私が通っていた大学の教授は若い頃アイルランドに留学していて、アジア人なんて全く見かけなかったらしい。気候も曇りがち、皆には冷たくされて毎日が本当に孤独でつらい日々だったそうだ。

ある日バスに乗っている日本人らしき人を見つけて思わず追いかけてしまった。日本人ですか?と聞くと「自分はアイルランドで孤独に勉強してきた。君もそんな風に頑張らなければならない」と言われてぷいと去って彼は愕然としたらしい。

私が交換留学から帰ってきて、最初に大学でその教授に会った時
「辛かっただろう〜?」と言って迎えてくれた。実際そんなには辛くなかったのだけど「色々大変でした」と言うと哀れみの目で私を見てくれた先生。

もしそんなにも孤独な海外生活だったら、私も柴犬を追いかけてNYを走り回っていたのかも。だってあまりにも郷愁をそそる顔つきなんだもの。