ついてる、ついてる

思いがけずおいしいレストランを見つけると、むかしから「今日ってすごいついてる!」と気分が上がる。新しい土地に引越して、おいしい食べ物屋がすぐ見つかると「ここに引越してきて最高にラッキー。」と思う。

それが、中葛西のラーメン屋さんの冷やしラーメンだったり、ブルックリンのベトナミーズサンドだったりするのだけど。(ああ、あの冷やしラーメンを食べて涙が出そうに感動したことを思い出す。お酢を入れると最高においしかった。今でも実はたまに思い出している。)

先日久しぶりにそういう気持ちを体験した。
アッパーイーストにある、なんてことないダイナーで。

そこはいつも混んでいるので気にはなっていた。あるきっかけでその辺に立ち寄ることになりひとりで急ぎのランチをとる必要があった。

ダイナーに入り、カウンターに向かう。おじいさんの隣りか、若い女性の隣りの椅子が空いていて、おじいさんの隣りに座る。私は昔から年を取った人がどうやら好きみたい。
ダイナーのカウンターは、寿司屋のように担当が決まっていて、カウンターのウエイトレスが一人に対してに10人くらいの客の面倒を見る。そのウエイトレスのサービスが最高にすばらしくて、美しくて、笑顔でいっぱいでまるで映画の中のダイナーのようだった。

隣のおじいさんは、サンドウィッチを注文し私は今日のリングイニにした。しばらくするとメニューが運ばれてきて、おじいさんはサイドで注文したポテトチップスを「一緒にシェアしよう」と言ってずずいと皿を私の方に押した。「ここのはすごくおいしい。自家製で作ってるんだ」とフレンドリーになりすぎないように注意深くしている感じで話しかけてきた。

じゃあ、頂きますと言って頂いたら本当においしくて。私のパスタも白ワインと野菜とチキンがうまくまとまっていてびっくりした。
おじいさんに「ここはおいしいですね。」と話しかけたら「ここに来るのは初めて?僕は毎週月曜の昼はここに必ず来ることにしてるんだ。ここは料理はうまいし、材料もフレッシュでいいんだ。君もまた来るといいよ。」と言ってウエイトレスにウィンクした。ああ、このウエイトレスさんはいつも月曜日に働いているんだなあ。

本当はデザートまでたどり着きたかったけど、急いでいたので、チップをたくさん置いて(気持ちいい)おじいさんにお礼を言ってレストランを出て、スキップしそうに楽しい気分になった。

あーおいしいっていいなあ。

そのダイナーはここでした。